改造人間は嘆かない

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長女が京太郎にあくまで優しい声音でたずねる。 「きょうちゃんさ。3週間前、誰とお出掛けしたの?」 「は?今そんなこと関係ないだ・・・」 長女の声は相変わらず優しい。しかし、その麗しい瞳からはすでに優しさが抜け落ちている。 「いいから。正直にいってきょうちゃん」 中西京太郎は改造人間である。その視力は常人の3000倍である。 なので、長女の瞳孔が開ききっているのもお見通しなのだ。 「え?いや、別に誰とも・・・」 「お出かけし・て・た・よ・ね」 長女が京太郎に顔面すれすれまで顔を近づけながらにらみつける。 その勢いにうなづくしかない。 「・・・は、はい」 「誰と?」 「委員長と」 「何で」 「映画のチケットがあまったから一緒にきてほしいって」 京太郎の言葉に長女が激昂する。 「はあああああ!?映画のチケットなんかあまるわけないんですけどおおお!? 完全にデートなんですけどおおおお!?」 普段のおしとやかで理知的な彼女から想像できない姿にただただ驚くしかない。 「違うよ!!デートなんかじゃない!! 一人で行こうと思って買ったチケットがあまったんだよ!!」 「何で一人で行こうと思ってペアでチケット買ってんのおおお?委員長は分身できるのかなああ」
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