改造人間は嘆かない

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中西京太郎は改造人間である。 この春高校入学した彼は、入学初日に謎の組織に誘拐され改造手術を受けてしまったのだ。 だが、脳を改造される前に脱出。 正義の改造人間として三首領率いる謎の組織KD団と日夜戦い続けているのだ。 「誰か助けて」 中西京太郎は改造人間である。 彼の耳は100km先の助けを求める声でも聞き取ることが出来るのだ。 だから、彼はお隣の幼馴染の家のリビングで正座をしていた。 「ねぇ、きょうちゃん、助けてよ。あたし、結婚したいの」 彼女は京太郎の幼馴染の姉である。 勿論、京太郎は昔から知っている。 京太郎の高校の教師もやっている。 まさか、そんな微笑ましい事で悩んでいるなんて京太郎には思いもしなかった。 改造人間となり、人並みの幸せなど願うべくもない彼にとっては彼女が少し遠い存在にうつる。 「そう・・・だな。じゃあ結婚相談所にでも登録した「あぁ。誰か今年高校入学して隣に住んでる昔から知ってる男の子が結婚してくれないかなぁ」」 京太郎の言葉の終わりを待つまでもなくまくしたてる。 気づくと彼女の顔が京太郎のすぐそばまできていた。 「無理だよ。大体その条件あてはまるのって俺になっちゃうし・・・」 京太郎の言葉に彼女は驚いたような呆れたような顔を浮かべるとやがてため息をつく。 「まぁ、わかってたけどさぁ。昔から言ってると思うんだけどあたしきょうちゃんの事が好きなの」 「え?京都の琴が好き?」 「この距離で難聴って耳が死んでるじゃない」 「お姉ちゃん。なにやってるのよ」 怒声とともにリビングに幼馴染が入ってくる。 「ちっ」 彼女の姉は露骨に舌打ちする。 「京太郎。大丈夫?」 幼馴染が側に駆け寄ってくる。 「変なことされなかった?」 「ちょっと、どういう意味よ。ただちょっと結婚しようとしただけよ」
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