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「じゃあ、母さん入院の手続きとか色々なことやってくるからその辺で待ってなさい」
「…うん」
大型テレビの前にいくつか横長のソファーが並んでいる。
ふと中庭に目を向けると、花壇があり、たくさんの花が植えられていた。
その辺にいろと言われたのでソファーに座ったが、早々につまらなくなったので、屋上に行ってみる。
屋上へと続く扉をゆっくり開けると、心地よい風が吹いてきた。気持ちが良い。
ここならぼーっと景色を眺めていられる。
ちょうどいい硬さのベンチもあったのでそこに横になって空を見上げた。
ぼんやり眺めていたら急に手で視界を遮られる。
突然のことで反応が遅れたが、手の主に尋ねる。
「…誰、ですか」
「うふふ。誰でしょー?
声でわからないかなー?」
その手の主は女の人だった。
知り合いのような口ぶりだが、聞き覚えがない。
無言のままでいると、女の人はふいに手をどかして言った。
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