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捜査一課の部屋は、今日は静かだ。
おかげでこんな馬鹿な思考に入り浸れる。
普段は煩いわ騒がしいわで落ち着きがない。
捜査一課は課長も含めて8人。
課長は別室だから、普段はこの部屋に7人いる。
(といっても、しょっちゅう課長がここにいるから8人)
因に、この事務所内には他に、捜査二課、科学捜査課、情報課が置かれている。
一課の部屋は、人数分のデスクが向かい合って中央におかれている。
その上普段は7人がうろうろしているんだから、狭い。
けど、今日は俺と渡部、そして向かいの熊姫……じゃなくて三野さんの3人。
いつもより広く感じる。
俺と渡部は今日は朝から書類整理に追われていた。
三野さんは朝は何処かに行っていたけど、いつの間にか帰ってきていた。
他の四人はそれぞれ二人組で、外に出ている。
近衛さんも朝から庄野……さんと、二人で外に出ている。
近衛さんと二人で。
……羨ましくて仕方がない。
庄野左千代(しょうの さちよ)。
この人は悪い人じゃない。
悪い人じゃないどころかむしろ聖人並みの性格の良さだ。
けれど、俺からしたらちょっとでいいから死んで欲しい……いや、ちょっと怪我をしたらいいと思う。
庄野さんは、近衛さんの同期。
どうやら気が合うらしく、結構プライベートでの付き合いも深いらしい。
仕事上でも、近衛の右腕なんて呼ばれるほどの関係。
つまり、近衛さんのもはや一部に近い。
……妬ましい。近衛さんと四六時中ベッタリなんて、羨ましくて死にそうだ。
近衛さんも庄野さんのことを信頼しているから、何かあると二人で行動している。
今日だって、庄野さんをつれていってしまった。
庄野さんじゃなくて、俺を選んで欲しい。
俺が新人の頃は、何かと構ってくれたのに。
あと、俺が新人の時、庄野さんが別の事務所にいた(去年ここに戻ってきた)こともあって、何かと俺と一緒に行動してくれていた。
……ホント、庄野さんが気にくわない。
近衛さんを好きになって、自分の嫉妬深さを知った。
それが嫌気に拍車をかけている。
あと、何かあるとすぐ近衛さん中心思考が展開するのも嫌だ。
客観を欠く。
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