137人が本棚に入れています
本棚に追加
「それはちょっと、源くんが焼き餅を焼くから」
ぽかんとする繁三くん。
「焼きませんよ。握手くらいしてあげたらどうですか」
「ほら、言い方に棘がある」
「もし棘があるように感じたなら、それはヤキモチではなくて牧野さんの勘違いに対してです」
「源くん…牧野さんの書生でもしてるの?」
「ここは俺の家だよ、知ってるでしょ」
それに疑う余地もなく喫茶店のマスターという生業もある。
「僕はね清さんから源くんを託されてここにいるんだ」
「清さんから!」
とんだ大義名分ですねぇ。
俺が白けた視線を向けても牧野さんはものともしない。
「だから源くんが悲しむことはしたくないんだ」
「握手くらいで悲しみませんって」
最初のコメントを投稿しよう!