第16章 心変わりと変化

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心はずっと変わらないってことはない。 永久に変わらずいられるものはない。 でも、その変化は必ずしも「心変わり」じゃない。大きく深く、濃くなっていくような「変化」もあるんじゃねぇ? 「嘘みたいだ! アキ! ワァァオッ!」 「ちょ! バカ! おまっ」 ふわりと浮き上がって足が地面についていない。 ふわふわ、恋に浮かれてる――んじゃなくて、俺の告白に浮かれたグレンが俺を抱きかかえて大喜びしながら回っていた。 「バカ! 下ろせ!」 「信じられない! アキ!」 「信じられんねぇのはお前だっつうの!」 大笑いしてんなよ。 そんな、世界一、嬉しそうな笑顔、あの故郷の薔薇を愛でて微笑むよりも幸せそうな顔してんなよ。 見ているこっちが溶けそうに嬉しくなるだろうが。 「下ろせ! グレン!」 「アハハハ、無理そうだ!」 「何がだよ!」 「君を諦めることが」 本当に溶けそうだっつうの。
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