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「んで、きっと女に飽きて、変り種に手を出してみたかったんだろ? って」
「全然」
そう思うくらい、グレンは俺にとって魅力的な男だった?
「モテないよ」
「嘘だ」
「本当だ。ちっとも……っていうと、なんだかすごく自分を下げる気がして、君に不似合いな気がしてくるな」
「不似合いなわけあるかよ!」
「似合ってる?」
知るか。男同士で似合うも似合わないもないだろ。
「モテても、モテなくても関係ない」
「……」
「俺は君のことが好きだ。だから、君にさえ振り向いてもらえたら、それだけでいい」
その時、どの水槽なのかはわからないが、水面を何か、たとえば尾びれのようなもので叩いたような水音がした。ピシャンと水の跳ねる音がして、心臓が――高鳴った。
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