第17章 林檎の見え方

4/4
前へ
/208ページ
次へ
「んで、きっと女に飽きて、変り種に手を出してみたかったんだろ? って」 「全然」 そう思うくらい、グレンは俺にとって魅力的な男だった? 「モテないよ」 「嘘だ」 「本当だ。ちっとも……っていうと、なんだかすごく自分を下げる気がして、君に不似合いな気がしてくるな」 「不似合いなわけあるかよ!」 「似合ってる?」 知るか。男同士で似合うも似合わないもないだろ。 「モテても、モテなくても関係ない」 「……」 「俺は君のことが好きだ。だから、君にさえ振り向いてもらえたら、それだけでいい」 その時、どの水槽なのかはわからないが、水面を何か、たとえば尾びれのようなもので叩いたような水音がした。ピシャンと水の跳ねる音がして、心臓が――高鳴った。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2259人が本棚に入れています
本棚に追加