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けれど、自分を信じて待てと言う一方で陵介が一番、相沢の想いを信じてなかった。 信じてはいけないと思っていた。 「一緒に居たんでしょ?彼の幸せのために、陵ちゃんがしたことは必要なことだったと思うけど、陵ちゃんが失恋したかどうかはまた別なんじゃない?」 「…けど、俺と居たって…」 「それは陵ちゃんが決めることじゃないわ」 迷う陵介の声を、沙耶香は一蹴した。 「沙耶香」 いつの間にか、涙は止まっていた。 「彼の幸せの在り方は、彼にしか選べないの。…だからちゃんと確かめて?」 沙耶香の真っ直ぐにこちらを見上げる視線に、足は一歩をふみ出した。 けれど、まだ迷う。 それで真実、二人がヨリを戻していたらと思うとそれでいいと思っていたはずなのに、足が竦む。 確かめるのが、怖い自分がいる。 「陵ちゃんが動かなきゃ何も始まらないのよ」 「分かる、けど…でも」 渋る陵介は、それ以上進もうとはしなかった。 「でもじゃないの!…決めた!陵ちゃん、飲みに行きましょっ」 沙耶香はふうっと大きく息を吐き出すとそれまでの口調を一変させた。
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