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「りょうちゃんは頗るいいやつみたいな」
「もう全然敵わないんですよ。…こんなにも人が好きになるなんて思ってもみませんでした」
もう一度、誰かを愛して。
ひとつ屋根の下で暮らす日が来るなんて、自分がいちばん信じていなかった。
一歩を踏み出すことすら怖くて目を背けていた俺の手を引いて。
あっさりこの場所につれてきてくれた。
そんな陵介を。
そうして、日を追う毎に好きになっていく。
「…正直俺はお前のそんな顔が見れる日が来るとは思わなかったからな」
短くなったタバコを灰皿に押し付けると、課長はふっと笑って言った。
課長がどんなに心配してくれていても、あの頃の俺は立ち直ることが出来なくて、作り笑いの仮面の下にすべてをしまいこんでいた。
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