エピローグ

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「課長にはご心配お掛けしてしまってすみませんでした」 今になって、当時の自分の有り様を申し訳なく思う。 遅いかもしれないが、今更ながらに頭を下げると課長の大きな手が俺の頭を掻き回すようにがしがしと撫でた。 「もう必要ないみたいで何よりだ。…相沢は今もまだ、雨と桜は嫌いなままか?」 「…桜は陵介が大好きなんですよ。それに雨の日は迎えに来てくれるんで。…今はどっちも大好きです」 課長の問いかけに顔を上げる。外は荒れた天気のままだが、お陰で陵介には早く会える。 加えて今年は花見に行く約束もしていて、それを思うと思わず頬が緩んだ。 「らぶらぶだな」 「ぶっ…そのフレーズ、久しぶりに聞きました…課長も変わらずらぶらぶのようで」
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