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 夜明けまでちょうど3時間の2時43分に、東園寺班の戦闘訓練がサイレンの音とともに開始された。甲3区訓練場は長さ600メートル幅400メートルの平場に、人の背丈よりも高い岩を無数に搬入し、迷路のような地形をつくりだしている。  迷彩服を着た寂矢(じゃくや)が、家の屋根ほどの高さがあるハンギングロック――ある進駐官訓練生が自殺したというので有名な首吊り岩にのぼっていく。テーブルほどの広さの突端にとりつくと、暗視双眼鏡をのぞきこんだ。  指揮官のサイコが声をかけた。 「敵の動きは?」 「まだありません」  タツオが低い声で命令する。 「よし、ぼくの分隊の4名は移動を開始する。ついてきてくれ」  ソウヤが重い分隊支援用の軽機関銃を抱えていった。 「どこへ?」  タツオの代わりに作戦担当のジョージがいう。 「今回の戦闘区域はこの甲3区だ。域外からの攻撃は禁止されている。守りに優位な地点に移動しよう。オセロと同じだ。四隅はひっくり返されにくい」 「了解」
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