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大音量に耳を塞ぐ。
子供じみた嫌がらせのように、ボリュームが最大になっていたのだ。爆音の中、焦ってボリュームボタンを探すが見つからない。
「何? どこ? ストップは??」
独り叫び、闇雲にボタンを押す。結局コンセントを引っこ抜いて、強制的にストップさせた。
やっと静寂が戻った。キーンと耳鳴りがする。
シャワーの隣人が怒鳴り込んできたらどうしようと、ハラハラしたけれど、何も言ってこなかった。
ほっとした私は、荷解きを再開した。
一通り終えると、何となく部屋らしくなった気がした。
住めば都。贅沢は言っていられない。
気持ちを切り替え、周囲を散策しようと外へ向かった。
あれから早1ヶ月。
今月でこの部屋の契約が切れる。
だからこそ、今日の大手地図出版の最終面接は絶対に負けられない。
出発時間まで少し余裕があるので、電気ポットでお湯を沸かし、シャワーを浴びた。
ドライヤーで髪を乾かし、スーツに着替え、冷蔵庫を開く。昨日スーパーで買った3個298円の焼きプリンを一つ取り出して、蓋をめくる。
風呂上がりのプリンは、就活中の私のプチ贅沢だ。
インスタントコーヒーをマグカップに注ぎ、しばし窓を眺めた。
今日も暑くなりそうだ。ネットの予報だと、来週から梅雨入りするらしい。
隣人は既に出かけた模様。
こんな怪しいマンションを借りるなんて異常者かもしれないと、自分のことは棚に上げ、私は隣人を恐れている。
隣人のシャワー音は、午前4時~5時頃聞こえ、午前10時から11時の間に玄関を開ける音がする。
夜のお仕事系に違いない。
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