第1章

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「聞いてはいないが、用意するのが当たり前だろ?」 「何故? 今この部屋の中には3万人の人間がいる。 お前達が踏みしめている大地は、60万人の人間が自給自足で暮らして行けるだけの恵みが得られる、栄養たっぷりの土だ。 持参してきたであろう食料を食いつなぎ、最初の恵みの日を待てば良いのではないかな」 「Mが用意していると思っていたから食料は持参していない、融通してもらえないか?」 「断る! 次の質問者は? あなただ」 ライトに照らされた次の男が、カバンを高々と抱え上げ話しを始めた。 「このカバンの中に高額のドル紙幣が詰まっている。 これで必要な物を売ってもらえないか?」 「ハハハハ、ドル紙幣だって? そんな物ただの紙切れだろ。 Mがお前達が持参してきた微々たる金や貴金属に目がくらむ、貧乏人だと思っているのか? この巨大な施設を私費で建造するだけの金を持っていた、8日前までは世界No.1の金持ちだぞ。 質問は終わりだ! Mからの伝言を言う。 お前達がここで自給自足を行うのであれば、それに必要な太陽光や水は提供する。 しかし、それを行わないのであれば、無駄になるエネルギーは提供しない」 モニターから男の姿が消えると共に、部屋を照らしていた明かりも消え、巨大な空間は闇に包まれる。
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