第1章

8/9
前へ
/9ページ
次へ
あれから499999800年後。 Sは目覚め、エリアEの各所の点検を始める。 Mから命じられた任務の遂行を阻害する程の破損は見られない。 Mが全ての事を考え、数十億回シミュレーションして選んだ場所であり、金に糸目をつけずに作り上げた施設だ。 各所の点検を終えてから、監視衛星を搭載したロケットを打ち上げると共に、エリアEの周辺、半径数百キロを偵察するための無人偵察車が、数十台送り出される。 監視衛星や無人偵察車からの情報により分かった事は、約5億年前放射能や細菌兵器により汚染された土壌は、あちらこちらに有害な場所は残っているものの、おおむね安全な土壌に変わっていた。 放射能汚染から生き延びて突然変異したらしい生物や、深海生物などから進化したと思われる生物達の群れがあちこちに見られる、しかし、知的生物の痕跡は見当たらない。 偵察が済み、地表を防護服無しで闊歩できる事を確認し、第2段階に入る。 約5億年前地球上に生息していた人間を除く生物達のDNAを使って、それらの生物達を再生。 保存していた植物の種子と共に気球に載せ、地球の要所要所にばらまく作業を行う。 ばらまかれた生物達は、5億年の間に進化してきた生物達と、生存を掛けた戦いを行う事になる。 どちらの生物が生き残るかは、今の段階では分からない。 少なくとも半分程度の生物が生存競争に打ち勝ち、残って欲しいと願うだけだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加