第7章 黒兎の躾

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 一方で、早朝である事もあり、家族を起こさない様に慎重に家の中に入って足を進めた美子は、自室に辿り着くなり、一気に緊張が解けて床にへたり込んだ。 「疲れた……。一体、何だったのかしら?」  茫然と座り込む事、数分。ここで美子は掛け時計で時刻を確認し、慌てて立ち上がった。 「いけない、ぼんやりしてる暇なんかないわ。急いで朝食の準備をしなきゃ。お父さんは今日まで仕事だし」  それから猛烈な勢いで着物を脱いで片付け、手早くセーターとジーンズを着込んで台所へと向かった美子は、そのままの勢いでエプロンを付けて朝食の支度をしていると、いつもよりも早い時間に起きて来た美恵が、台所の入口で顔を顰めつつ声をかけてくる。 「……姉さん? 何で居るのよ?」 「居たら悪いの? 暇なら、その茹で上がった物をだし汁で和えて頂戴」  どうやら自分の代わりに朝食を作るつもりでいたらしい美恵が、思わずと言った感じで憎まれ口を叩いてきた為、美子もつい言い返してしまった。(こういうのが悪いのよね)とは思ってはいるものの、つい喧嘩腰になってしまう口調を美子が反省していると、美恵も憮然としながらも、大人しく言う通りに手伝い始める。
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