62人が本棚に入れています
本棚に追加
/524ページ
佐古
「いないよ、そんなの。」
………ドクン………。
やっと収まったと思ったらまただ、先程から椿は胸の奥で何かが熱くなるのを感じている。そしてその熱と共に胸の内側を押されるような、そんな不快感を覚えた。
・・・何この感じ……私、病気?
佐古
「どうかしたの?」
胸やけでもしたのかと心配をする佐古に、椿は素っ気なく「いや、別に。」と返事をする。そのまま佐古に背を向け、教室を出ようと扉を開ける椿の背後で佐古が声を掛けた。
佐古
「あ、そうだ言い忘れてた。ちなみに、あと二人お前と似通った立場のやつらが居たっけ……そいつらも冬休み中来るからよろしくな。」
椿
「誰それ?」
佐古
「ん~とね……名前忘れた。まぁそういう事だから、明後日から頑張れよ。」
不思議な感覚が胸に残る中、椿はパタンと教室の扉を閉めた。言葉で上手く表現するのは難しいが、強いて言うならばモヤモヤとするような、そして時に鋭く内臓のどこかの臓器が締め付けられるような、そんな不快感だ……とても気持ちの良い感覚では無い。ここの所数か月ほど前から、もうずっとこの調子だ。その感覚は学校を離れるにつれ段々と収まっていく事にも最近気が付いたばかりだ。
こんな調子で、冬休みもしっかりと登校することなどできるだろうか?面倒な事は昔から嫌いだ。もちろん登校しなければならない義理なんて椿には無いし、冬休みを犠牲にしてまであの鬱陶しい担任の顔など見たくも無い。
……ドクン……。
胸を抑え、椿は冬の空を見上げてすぅーっと冷たい空気を吸い込んだ。
・・・逃げるな、私。
最初のコメントを投稿しよう!