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謎の扉
隠し部屋に入った美冬が見たものは、巨大な金庫だった。金庫の前に、デップリ太った豚が横たわっていた。豚なんてのは暗喩だ。
「鳴神さん」
鳴神は、美冬が2年前に勤めていた印刷会社の社長だ。怒ると雷みたく怖い人だった。
外傷などはなく、病死だと美冬は判断した。
それにしても、何故、鳴神が姉の家にいたのだろうか?
鳴神の傍らに落ちていたスマホを拾った。
待ち受け画面を見て、美冬は喉をゴクリと鳴らした。姉と鳴神のツーショット写真だ。
生まれつき、顔に痣がある美冬と違い、姉の夏海は、黒木メイサに似た絶世の美女だった。
大学時代は何人もの男をはべらせていた、美冬はその売れ残りを与えられたが、半年で棄てられた。
「なるほどね、パトロンか」
美冬は、鳴神の顔をヒールで蹴り飛ばした!
スマホを調べると、下書き機能に数字が羅列されてある。5836。
姉の誕生日だ。昭和58年3月6日生まれ、美冬とは10歳も違う。ファミコンなんていうイミフな機械で遊んでいたらしい。
《ポートピア殺人事件》や、《さんまの名探偵》が好きだったそうだ。名探偵のさんまじゃなくて、さんまの名探偵…タイトルもイミフだ。(°∀°)
金庫のダイヤルを回す。カチリ、カチリ…5836。
ガチャリ…ゴクリ。生唾を飲み込む。
呼吸を整える。
そこには、札束の山、さらに拳銃が3つ吊るされていた。
怪盗、日村太と月島玲音は排水路を進んでいた。「ゴーストバスターズ!」と、日村はノリノリだ。今日もノリノリ、ポジティブハンター
月島はハァハァ溜め息を吐いている。「どうせ、いいことなんかないよ」今日もジメジメ、ネガティブハンター。
東武市街を流れる釜川の真下を、二人はあるいているのだ。
「金比羅金比羅」と、月島は呪文を唱えた。香川県には金塊がザクザクだった。うどん喰いてー!
「宮崎の海洋公園にはね?可愛い九官鳥がいるんだ、フランス語から妖怪語までペラペーラ」
日村は日南市出身だ。
「要介護?年寄りの面倒大変、もう死にてぇ」
月島の本業は介護ヘルパーだ。
排水路は猛烈な悪臭を放ち、ネズミがときよりチューチュー歩いている。
「チューチュークラクラ」と、日村がきゃりゅーの歌を口ずさむ。
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