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終業式を終えて、いつもよりはるかに早い時間に下校した藍里達は、まっすぐ来住本家に足を向けた。すると当主である基樹は留守で、一成の出迎えを受ける。
「やあ、藍里。頼まれた物はできているよ」
「ありがとう、一成さん」
「じゃあちょっと、奥に来てくれるかな?」
「分かったわ」
玄関に上がるなり言われた内容に、素直に頷いて後に続いた藍里だったが、何気なく同行しようとしたルーカスに、背後を振り返った一成が、横の居間を指差しながら申し出た。
「ああ、申し訳ありませんが、殿下はこちらで少々お待ち下さい」
「え?」
当惑したルーカスだったが、一成はにこりと人好きする笑顔を浮かべながら、尚も説明を続ける。
「同じ屋敷内に居ますから、襲撃時に多少離れていても、すぐ対応できるでしょう。今度の物はなるべく人目に触れない様にして、皆さんを驚かせたいんですよ」
「いや、しかし。実際どんな武器を所持しているか分からないと、咄嗟の判断に影響が」
「勿論、そんな不測の事態にならない様に、殿下を初めとする護衛の皆さんが、しっかりその役目を果たしてくれると信じておりますので、今日渡すものも無用の長物になりそうですから、一々ひけらかすのが恥ずかしいと言うのが本当の所なのですが」
「それは……」
そこまで言われて強く出る事もできずにルーカスが口ごもると、一成は笑顔を保ったまま藍里を奥へと促した。
「じゃあ藍里、行くよ」
「あ、ちょっと待って」
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