第3話 天使と共に

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「良かったな春樹。うまいもんだ」 「どうしよう、このクマ。……お店の人に返そうか」 「なんでだ? もったいない」 「だって、これ抱いて尾行なんて」 「問題無い」 「……そう?」 春樹は諦めたようにそれを両手で抱えると、再びさり気なくターゲットの鈴木に視線を流した。 薫はその時になってようやく小さな疑問を頭の隅に感じた。 ……この少年は買い物の途中だったはずだ。せっかくの休日になんだって俺の尾行に素直に付き合うんだろう。 ただ従順なこいつの性格のせいか?…… そんなことを思っていると、目の端で中年の二人がふらりと動いた。 「薫さん」 「ああ、行こう」 のんびり顔の黄色いクマを抱いた春樹が小さく頷いて、薫のあとに続いた。
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