3人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
登場人物
都賀崎 侑馬 (グラドム・シャルル)
石黒 友也
大柴 光 (リカント・ヴェアル)
ロイヤス・ミシェル
ミラー
シレーヌ・テノ―パル
ガウラ・ファウスト
とにかくね、生きているのだからインチキをやっているのに違いないのさ。 太宰治
全てを擲ってまで守るものなど、この世に存在するだろうか。
もしあるとしたら、それは本当に守るだけの価値があるのだろうか。
闇夜の生き血を啜り、薔薇色のワインを呑み干し、宵闇とともに堕ち、錆びた朝を唄い、狂楽に踊りだす。
貴方の愛に齧り付き、骨の髄まで噛みついたら、一番美しい表情を見せる。
満月、三日月、新月、いつの夜でも姿を見せるその姿は、まさしく蝙蝠。
ただ蝙蝠と違うのは、その姿は妖艶に口元を歪めて笑い、二足歩行することが出来、蝙蝠よりも性質が悪いということだ。
誰もその存在を認めないまま、時代は進み続けて行く。
だが、時代が認めなくとも、存在が確実であり、進化しているのもまた、今から知る事実となり、現実離れした現実となる。
月がその身を隠し始め、太陽がその存在を消す為に、神々しく光を放ち始める時間。
森の奥、霧の道を通り抜けてさらに奥へと歩みを進めて行くと、そこに、薄らと姿を現したのは、茨に呑みこまれそうな城。
蝙蝠が城へと向かって飛び、とある小窓から部屋の中へと入っていく。
その部屋は、埃を被り蜘蛛の巣もはっている、錆び付いた豪華なシャンデリアがあり、大きな額縁の中には、この城の持ち主だろうか、こちらもすでに色褪せた肖像画が飾られていた。
背もたれの長い椅子に座り、足を組んで優雅にワインを呑んでいる男が一人。
「胃もたれしそうだ。」
ワインを横の小さいテーブルに置くと、組んでいた足を下ろして華麗に立ち上がる。
「人間相手は疲れるが、極上の血を手に入れるためだ。背に腹は変えられねぇしな。」
最初のコメントを投稿しよう!