第1章 喉を潤す茨

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「俺、絶対に怪しいと思うんだ。」  「はぁ?何がだよ。」  お昼休みに、友也と光は二人で屋上に来て数個のパンを抱えながら食べていた。  突然、友也が口にしたことで、光は詰め込んでいたパンを牛乳で流し込み、話せる状態を作ると、友也に訊ねた。  くるっ、と顔だけ光に向けると、元からなのか、険しい顔で口を開く。  「都賀崎だよ、都賀崎!あいつが飯食ってるとこ、見た事ねぇんだよ!いっっっっっっっっつも野菜ジュースとかコーヒーとかコーヒー牛乳とかしか飲んでねぇんだよ!ベジタリアンなのか?どう思う?なァ!大柴はどう思う!?」  「どうって・・・・・・。別に気にしたことねぇな。」  「俺、今日にでも都賀崎の後をついていこうって思うんだ!大柴も来ねえか??」  「や、止めた方がいいんじゃないか?」  一応止めてはおいたものの、こうなってしまっては友也を止められるわけもなく、その日、なぜか光も一緒に侑馬を尾行することになった。  「やあ。君たちは本当に仲良しなんですね。」「「ゲッ。」」  「すごい嫌われようですね。」  眉をハの字に下げながら笑っている侑馬は、大して傷ついてもいないようで、手に持っている野菜ジュースをチビチビと飲んでいる。  屋上に来て、フラフラ歩き回ったかと思うと、手摺に近づいて下を眺める。
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