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「都賀崎が此処に来るなんて珍しいな。」
光が、先程からマイペースに行動している侑馬に声をかけると、くるり、と身体を回して友也と光のほうに向ける。
肘を手摺に乗せると、目と口が綺麗な弧を描きながら表情を作りだした。
野菜ジュースをまた口に運ぶと、ストローを少し齧りながら、光の質問に対しての答えを言いはじめた。
「それがですね、女生徒達があまりに五月蠅いので、逃げてきたんです。きっと此処に来れば、君達に会えると思いまして。しばらく、厄介になります。」
ニコニコ笑いながらそう言うと、侑馬はまた身体を回転させて、のんびりと空を眺める。
女生徒達が侑馬を探している声が時折聞こえたが、当の本人は全く聞こえないふりを貫き通し、大欠伸までしていた。
運命の下校時間・・・・・・
友也は探偵のように壁に張り付き、侑馬の動きを細かに観察しているが、侑馬は今日掃除当番のようで、女生徒たちと楽しそうに話しながら掃除をしていた。
なかなか帰らないため、友也と光は下駄箱で靴を履いて待つことにした。
そろそろ掃除が終わる時間だろうと思っていると、いつの間にか侑馬は靴を履いて、帰り道を歩いているところだった。
周りには女生徒たちがいて、一人一人の家まで送っていくようだ。
知りたくも無い家まで知ることになったが、侑馬の本性を探るためだからと自分に言い聞かせ、二人は、主に友也は喰らいつくように追って行った。
いよいよ最後の一人となり、無事に家に送り届けると、侑馬はてくてくと歩き出す。
「ふぅ~・・・やっとかよ!なんで女共をわざわざ送って行くんだよ!ポイント稼ぎか!?この野郎!!」
「石黒、お前、本当は羨ましいのか?」
「んなわけねぇだろ!」
「しっ!バレる!」
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