表の図書室、裏の図書室

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何故、キスをする必要があったのか。 問い詰めたい気持ちが無くはなかったが、ここでやると大問題だ。問題集もビックリの問題の多さだ。僕には解けないし、見たくもない。 学校中で噂になるくらいに美人の先輩とこんなに接近しているというだけでも、注目を浴びそうなものだが、現在の先輩は心霊モードのためかあまり周りに気付かれていないようだ。 ましてキスをしたなんてこれが噂にでもなったら、僕のスクールライフが突然夏休みのはじめでポッキリと終わりを告げられる事になりそうだが、現在の先輩は怨霊モードのためかあまり周りに気付かれていないようだ。 「僕を、待ってた?」 「そうよ」 拗ねたように僕を見る先輩、いや拗ねてる。いくらそんなに可愛らしく見つめられても、尖らせたままの唇にばかり視線が行き、今さっきこの人僕に何をした? なんて改めて自分に問いかけてみたら、事の重大さにやっと気付いた。 「こんな場所で、なんて事してくれるんですか」 「だって、だって……」 あ、雲行きが怪しい、いや、先輩の表情が、曇っていく。騒ぎ立てるような性格ではないにしてもいつまでもここじゃ話もできない。
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