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29、ベツ離
〝悠馬と別れてきました”
そう電話で伝えてから、柘植さんは直ぐに駆けつけてきてくれた。
夜の静かな都心の公園のベンチ。
「寒いですよね。直ぐに何処か暖かい場所に―…」
「いえ……お話ならここでいいです」
「しかし、」
「伝えたいことは伝えました。場所を変えるというのであれば、私に付き合わず帰ってください」
柘植さんの目も見ずに言うと、ふーっと大きな溜息をついて私の隣りに座った。
「本当に彼とは終わったのですか?」
「はい。ですので、もう悠馬の仕事の邪魔をしようだなんて考えないで下さい」
「では―…僕との事を考えてくれるのですか?」
「いいえ……悠馬と別れてきたという事は、あなたとももう会うつもりはありません」
そう伝えると、
「それは答えを出すのが早くないですか?」
柘植さんは不服そうに私に言った。
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