50人が本棚に入れています
本棚に追加
手紙……
岬先生が私に手紙?
〝感謝の気持ち”とか〝心の支えに”なんて―…私が岬先生の役に立てたことなんて一つもない気がするのだけれども……
ずっと一緒に働いてきたから、気をつかってくれたということなのかな……
でも、
何だろう。
この胸のざわつきは―…
岬先生からの手紙を持って、見つめてしまう。
シーリングワックスの様な封印シール一枚で止まっていた手紙は直ぐに封が開いて―…
私はその中に入っていた便箋を取り出していた。
けど、便箋じゃない……
封筒に入っていたのはコピー用紙で、広げると、
「―…っ」
そこには私が持つ大切な写真がカラーでコピーされていた。
「こ……れ……」
私と悠馬が遊園地で購入した写真。
これは同じようにA4サイズの用紙にコピーされて、大量に私のマンションのポストに投函されていて、
何処で入手したのか、教え子の深見さんも持っていたものと同じ。
「どういう……こと……」
そう思ったけれども、岬先生はこの元となる写真の存在を知っている。
昼休みの職員室で、私が鞄をおとしてしまった時に見られてしまって、悠馬と接点がある事を知られてしまうきっかけとなった。
この写真は誰が何時、複写したの―…?
もう一度、記憶を辿っていくと、やっぱり岬先生にこの写真を見られてしまった日までに辿り着く。
あの日、
あのあと……
〝鞄、お預かりします。自動販売機付近は人が多いから、手が空いていたほうがいいですよ”
岬先生の言葉を思い出して、ハッとした。
最初のコメントを投稿しよう!