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軽井沢じゃない? じゃあどこだ。 いつものように、落ち着きすぎている山河をみていると、聞くのが恐いとゆーか、聞きたくないぞ……あとにしよう、うん。 「オヤジたちは?」 「……いまは、居場所が不明だけど、絶対無事だ」 「──そ……か」 別荘にはいなかったけど、二人でどっかにいるのか? 「あ」 「?」 俺は、いまさらのように携帯電話を取り出す。 「ああ、リュウキ、それはきっと使えない」 「え?」 「こっちの世界にないんだ」 「ない?」 「ほら」 山河は、自分の携帯電話を取り出して、俺に画面をみせながら操作する。 電話を俺にかけて。 画面に表示されたのは、電波が届いていません、の文字。 使えないのか。不便だ。 ──考えたくないけど、さっき、『こっちの世界』って、言った……? えーと。世界って、なに……。 だんだん、指先が冷たくなってくる。
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