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黙りこんでしまう俺のことを、山河がちょっと心配そうに見詰めていたが、俺は気付かなかった。 しーんと静まり返ったログハウスの、おそらく隣の部屋から、かすかな……コトコトという物音が。 台所でなにか料理中かな。 でも、さっきのオバサン、確か家の外に出てったよーな。 「──リュウキ?」 俺と山河の前に出された、飲み物らしきものを見比べてみた。 そうっと、カップを手にとってみる。 「これなに? 色がミドリ」 「……葉っぱを煮込んだスープみたいな、あ、」 思いきってゴクリと飲む。 ………! けほけほと咳き込むはめになった。 苦いうえに、辛い。 「リュウキ、無理に飲まなくていいから。彼らの味覚は人とは違う」 先に言えよ……。 涙目になって、ピリピリに口を押さえていると、バーンと玄関が開いた。
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