ちいさな天才ハイジャンパー

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 バーは百九十まであがっている。  まだいける。  まだ跳べる。  百九十じゃどうがんばっても予選は突破できない。ここを越えなきゃ先には行けない!  バーまでのあいだに、マーカーをふたつ置いた。  最初は軽く、次に加速して、次第に力強く踏み込む。  跳べ、跳べ、跳べ、飛べ!  がらん、と落ちる縞模様のバー。  右肩が痛い。だめだ、当たったんだ。  もうずいぶん、跳んできた。いくら体力自慢のおれでも、さすがにきつい。  失敗できるのは、あと一回だ。  起き上がると、汗が滴った。  頭がじりじりするような、強い太陽の光。身体の内側で燃える熱が、おれの思考を奪っていく。  ああ……、あつい、あつい、あつい。  どうしよう、あつい。  どうしよう。  おれ、跳べないかもしれない。  
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