ちいさな天才ハイジャンパー
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二メートルのバーが遠かった。 今でも遠い。 それでも跳びたかった。 セーフティマットにかつてなく深く沈んだ次の瞬間、わっと声援がよみがえる。蝉の声なんて聞こえない。ただ、会場の熱とひとの息遣いが大きな波となって押し寄せてくる。 二メートル五センチ。 高校最後の葛城空一の記録は、それで終わった。 暑い熱い夏が、終わってしまった。
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