第1章

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 元々、そんなに彼とは体の関係がなかったのだが、距離が離れることによって体の繋がりが深まるかと思っていた。しかしそんなことはなく、友達のように会話が基本でチューすらほとんどしていない。  今日は友人から指令が来ている。  何としてでも、彼氏を旦那にチェンジしてきなさいと――。 「あー旨いなぁ、海鮮丼」  彼氏は美味しそうに海鮮丼を平らげて丼を置いた。旅館のため、部屋食にして貰ったのだ。何しろ二人だけで食事というのが色気をそそるのではないかと企んでいる。 「うんうん、美味しいね」  確かに美味しい。5月とはいえ北海道は冬のように寒く、魚一つとっても身がしまっている。普段ならしっかり味わうのだが、それよりも大事なことがある。  いつベッドの中に誘うかということだ。せっかく浴衣を着て少しはだけているというのに、彼はそれに対して何もいわない。 「お、テレビでも羆特集やっとるやん。今日は見れてよかったなぁ」 「うんうん」
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