第1章

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 私達は今日まで知床で希少な羆(ひぐま)を見て昨日は珍しい鯨(くじら)を見た。お互い、ときめき気分も上々になったのだが、夜になると彼はすぐに眠ってしまうので体は上々にはなれない。もちろん一日遊び倒すため体力を使うはわかるが、20時に寝て朝4時に起きるだけの生活では結婚する前から老後の生活に他ならない。もっと私達の世代では楽しめることがあるのではないかと勘ぐってしまう。  ……まさか遠距離中に彼女ができたのか?  私の考えはその一点にある。彼は元々大阪の人間で、福岡に仕事で来ていた。だが再び大阪の本社に戻ってしまったため、GWは一緒に旅行に行こうとなったのだ。  なぜ北海道を選んだのかというと、私の友人がいるからだ。彼女のデートプランに添って今日は渡り歩いている、この旅館も彼女の紹介だ。プランは完璧だが色恋には直結しない、やはり彼氏には何か秘密が……。 「はぁ、もう食えん。旨かったわぁ」  彼氏は満足そうにお腹を摩りながらいった。 「ちょっと横になっていいか?」 「うんうん、もちろん」  私はそういって彼が寝た隙を見て飲み物に栄養剤を含ませた。粉上のものだから、匂いもなければ味も変わらない。
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