第1章

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 ……私、本当に結婚できるのかなぁ。  彼の飲み物を混ぜながら途方にくれる。やはり熊ウォッチングの後の摩周湖を見たのがいけなかったのだろうか。その湖は常に霧に覆われていて、透き通った泉を見たら結婚できないというジンクスがある。今日の湖は霧など存在せず、青空のように澄んでいた。彼の心も澄んでいていて欲しいという淡い期待が募る。 「ねえ、篤。今日は……」  私が訪ねると、彼は飲み物を飲みながらいった。 「ああ、こんな時間だな、今日も遊び尽くしたしそろそろ寝るか」  ……まだ19時だよ。  私は呆れながら彼に同意してしまった。意気地なしである自分が情けない。
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