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「そんなこと、もちろんわかってますよ」嫁は微笑んで頷いた。「でも私達もあなたの家族なんです。家族がきつい時こそ、皆で支えあわなきゃ。だから今はゆっくり休んで私が疲れた時、支えて下さいね」
「……ああ」
俺は嫁の顔を見て、敵わないと思った。普段なら彼女はこの時間に飯を食わない。それは俺に休んで欲しいからだと隠喩(いんゆ)を含んでいたのだ。
「ついでにこれも置いておきますね。私の方が先に全部読んじゃってごめんなさいね」
「おお、お前が持ってたんか」俺は念願の漫画を掴み嬉しくなり頬ずりした。「よかった。これで最後まで読めるぜ」
漫画のラストを想像して、俺は再び悩み始めた。
今ここで俺は最後まで読んで満足していいのか、俺は漫画で満足していいのか。
……それじゃあ、駄目だ。
「ママ、決めたことがある。訊いてくれ」
「はい、どうしました?」
「俺はこの三階の休憩所を店にする」
俺は願望リストに書いたことを思い出した。皆でもう一度バーベキューがしたいと書いたのだ。海に行かずともここで楽しく食事をすることはできる。
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