第1章

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 俺は小さく独り言を呟きながら、布団の上から立ち上がった。飲み屋に客がいなくても飲食店に客が多かったりと、ともかく働きっぱなしだったのだ。  それなのになぜ、わざわざ職場のビルに来て静養するか。その答えはこの部屋に俺の宝が隠されているからだ。  ……今日は自由だ、皆が働いている間、俺は遊び尽くしてやる。  俺は心の中で大きく呟いた。大声で叫べるほど俺のメンタルは強くない、せいぜい小悪党ぶりを発揮することにしよう。子供の頃にずる休みした記憶がふと蘇り、小躍りしたい気分になる。  ……まずはこの自由を、読めずにいた漫画で堪能しようではないか。  俺は一冊のノートを取り出した。そこには俺の願望リストが眠っている。  この宝の時間を、俺は待っていたのだ――。   「あった、これだ。めぞん一刻」  俺は押入れに隠してあった漫画を取り出した。少々埃被っているが問題ない。何なら掃除機のように埃を吸いながら漫画だって読めるくらい元気なのだ。  俺は下のフロアを確認した後、漫画を取り出した。途中まで読んでいたが、どこまで読んだか覚えていないため一巻から読むしかない。漫画に夢中になっていくと、なんと最後の十巻がないことに気づいた。  ……あれ、おかしいな。
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