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第1章 神無月の花
青緑の葉が赤く変わる頃
スケッチブックと鉛筆、カメラ、蜂蜜を挟んだサンドイッチを持ってススキが無造作生えている河原へと足を運ぶ。
少し寒い風が私の頬にぶつかり髪を崩していく。
チクチクと刺さる枯れ草の中に手を広げると蒼い空が広がっている。ただ空という空を書いている。
お昼の鐘とともにテキトーに作ってきたレタスと蜂蜜のサンドイッチを頬張り、紅茶と一緒に?み込む
そして再び、スケッチブックに鉛筆をなぞらせる。
河原には、小学生くらいの子供だろうか楽しそうに水切りをしたり、笹舟で遊んでいる。その隣では年配者が釣りを楽しんでいた。
…私は羨ましいと笑っていた
ふと気配を感じて横を見た…
私の横には、黒髪一重でシャツを着た180cmくらいだろうか、男の人が座っていた。
その人は私の顔をまじまじと見つめて何かを言っているようだった…
その人は、自分の両手の人差し指を向かい合わせ第二関節を折り曲げ『こんにちは』と…
────その人は気付いたのだ…私が
…耳が聞こえないことを───
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