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こんにちは、勇者様。まずは貴方様のお名前をお聞かせ下さい。
○○さんですね、どうぞこれから宜しくお願い致します。
○○さん、此方のギルドにて、お仲間を手配出来ます。
今回の魔王退治ですが、お仲間を連れて行きますか?
そうですか、では、此方でメンバーを手配しておきますね。
大変お待たせいたしました。
この度貴方様のメンバーになったのは、剛腕剣士の、「アマノジャク」、魔法使いの双子、「ウラミ」と、「ソネミ」、敏速弓使いの、「ケンオ」となります。
この世界の運命は勇者様にかかっております。
どうか、我等が民をお救い下さいませ。
… … …
主人公は、五人パーティーで魔法退治の旅へといざ向かった。
道中、多くの敵と遭遇した。名は、「やさしさ」だとか、「あいじょう」だと言ったか。
彼等は、主人公達の旅を幾度となく阻んだ。
しかし、待ち構える魔王を退治すべく、主人公は彼等を殺していった。
話さなくとも通じると言えば聞こえは良いが、必要最低限の会話しかしないパーティー。
もしかしたら、敵の方が面白味のある者達だったかもしれない。
夜の闇を照らす焚火の揺れる炎を、主人公は虚ろげな瞳で見ていた。
敵を倒していく度に、主人公は苦痛を通り越して無感情になっていった。
だが、そんな苦痛ももうすぐで終わる。
主人公は、目の前の、魔王の住む天空にそびえ立つ城の頂上を見上げた。
城へ入り、迫りくる敵を倒していく。彼等の名は、「きぼう」や、「しあわせ」と言った。
彼等の屍を乗り越え、塔の上を目指していく。
パーティーに、信頼関係などと言う美しいものは無かった。
あったのは、魔王を倒す。その目的だけ。
彼等との、言葉の無い旅とももう終わることが出来るのだ。
己の目的の為、そして、自分達に期待を寄せる人々の為。
「勇者」と呼ばれた彼等は、城の頂上までやって来た。
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