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“佐々木さん、お誕生日おめでとうございます!”
快活な少し丸みを帯びた文字。
それは紛れもない、雪ちゃんのもの。
俺の誕生日だから…無理したの?
雪ちゃんの笑顔が瞬時に瞼の上に蘇ってそのまま目頭が熱くなる。
「…俺は雪を不幸にするんだったらあんたを許さない。
だけど、雪が体調が悪くても、今日あんたに会いたいと想った気持ちは最優先にしたいって思う。」
真っすぐ、真剣に相手を見据えて自分の意思を伝える姿が、雪ちゃんと重なる。
…やっぱ双子だな。
余計、雪ちゃんを抱き締めたくなっちまった。
「俺は雪ちゃんが好き。多分、ずっと。」
「…“多分”。」
「オメー…性格悪いな、だいぶ。」
「うっさいわ。分けわかんないオッサンにたった一人の姉をとられる身になってみろよ。悲しいったらありゃしない。」
「シスコン…」
「はっ?!ばっかじゃねーの!一年も会い続けて手えださないヘタレに言われたくないね!」
そこまで言ってハッとした歩の綺麗な眸。思わず含み笑いしたらその顔が真っ赤んなった。
「べっ!別に見張ってたわけじゃねーわ!」
「いや?俺だって見張られてたとは思ってねーよ。」
ただ、雪ちゃんに触れちゃいけないっつー警鐘を感じてたのは、こいつが見え隠れしてたんだなって、思っただけで。
雪ちゃん…良い弟だな、歩。
まだ笑ってる俺をひと睨みした歩は、そのまま頭を下げた。
「雪を…よろしくお願いします。」
一瞬間を置いてから上げたその顔は好戦的ないい笑顔。
「まあ…不幸にしたら覚悟しといて欲しいけど。」
「…雪ちゃんは俺んだ。」
「はっ?!手繋いだ事も無いくせによく言うわ。」
「それはこれから何なりと…」
「生々しいわ!」
「とっとと行けや!」と乱暴に背中を押すその手が何だか優しくて。
歩にも雪ちゃんと同じ心地いい空気が流れてる…そう感じて嬉しかった。
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