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十一月十九日午前八時十六分。私立浜ノ樹高校二年五組では、朝から五月蝿いくらいの盛り上がりを見せていた。
特に行事がある訳ではない。優奈達のクラスは、いつもこういう感じなのだ。
「優奈ーおはよー!」
「おはよう!」
そんな騒がしい教室の中に、優奈は入っていく。
「優奈、今朝のニュースみた? 例の事件のやつ」
学校に来るなり突き付けられた、暗い話題。その話を持ち出したのは、彼女の友人――長いポニーテールとスレンダーな体型が特徴的な、相楽圭恵(サガラ タマエ)。
何故か笑顔を見せている圭恵に呆れながらも、話を軽く流す優奈。
朝から暗い気分になりたくない、という理由からだ。
「もう、そんな事件の話やめてよ。物騒じゃない」
「でもあの事件さあー、私的に奥深いと思うよ~」
しかし、圭恵は事件に興味津々らしい。目がこれでもかと言うくらい、輝いている。
そんな圭恵を見ていると、優奈は最早何も突っ込む気が起こらなかった。
「ちょっと優奈ー、見てよあれ」
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