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その眼差しを見ていると、冬実も羅維納も、ひょうきんな三繼期さえも。
何も言えなくなり、ただただ終が醸し出す、黒いオーラを無意識に感じ取るのであった。
×××××××
深夜。闇に覆われたテラスにて、終は一人佇んでいた。
そこは、部屋から少々離れた広間の隅に位置している。
考え事をする時終がよくいる場所、言わば領域(テリトリー)みたいなものだ。
常時携帯している黒い本に、視線を落とす。
これは死期が近い人間のデータを纏めた、ファイルである。
終はファイルを開くと、確認するかのように、そこに書かれた標的の名を呼んで見る。
暗闇の中でも文字を読み取ることが出来たのは、この死神界において滅多に姿を表すことのない、月――とそれが放つ淡い光のお陰だろう。
「……長谷優奈……」
死期が近い人間がいるかを調べる為に潜入した、浜ノ樹高校。
そこに彼女――優奈はいた。
明るくて、友人がいて、普通な生活をしている。
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