第4章 その距離に私は惑う

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恥ずかしくて、悔しくて、落ち込んで。 そんな気持ちが渦巻く私の心なんて、それこそお見通しなのだろうけど……。 この後、母はテキパキと私のクローゼットから服を出して、私に合わせながらコーディネートを考えていてくれた。 そうして、なんとか母が笑顔で頷けるくらいのコーディネートが決まり、私の不安が1つ解消された。 私にはその良し悪しは分からないけど、母のOKが出るくらいのものなら大丈夫だろう。 残すは心の準備だ。 こればかりは、落ち着かせる方法が分からない。 「お母さん、ありがとう……あ、あのね、心の準備ってどうしたらできるかな?」 「心の準備か。そうねぇ。琴音は緊張してるんでしょう?」 「それはっ、緊張するよ! だって、男の人と2人で出掛けるなんて、これまでしたことがないもん。ましてや、好きな人となんて……」
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