第4章 その距離に私は惑う

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「青春ねぇ!」 「せせ、青春?! やだ、やめてよ。そんなんじゃないからっ」 「いいじゃない。好きな人と出掛けられるなんて、ドキドキして当たり前なんだし、それがいいんじゃない! 心の準備なんて、特別何もしなくていいのよ。かわいくして、会うのを心待ちにして。そのドキドキを楽しめばいいの」 「楽しめないよ! 眠れないくらい緊張しちゃってるし……」 「大丈夫。琴音の肌は綺麗だから、多少寝不足でも」 「……そういう問題?」 「まあ、万全の体調で会えれば、それが一番だけど。好きな人と会うのに緊張するのは皆同じ。男性も女性も、何歳の人だって、同じなのよ。そのドキドキがすごいってことは、それだけその人のことが好きということでしょう?」 「だ、男性でも……何歳でも……?」 「そうよ、だから琴音だけがダメなんじゃないの。大丈夫、琴音が好きになった人はきっと優しい人なんでしょう? どんな琴音でも、きっと受け止めてくれるんじゃないかしら」 黒崎さんは、どんな私でも受け止めてくれるのかな……?
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