第4章 その距離に私は惑う

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*** 遂に、遂に……水曜日。 あれこれと無駄なシミュレーションをしているうちに朝を迎えた。 私の経験値は限りなくゼロに近いから、シミュレーションをしても大したことはできていないと分かっているのに、止めることができなかった。 そして、落ち着かない私はまだ外が薄暗いにも拘らず活動を開始した。 ドキドキと煩い心臓の音がシンっと静まり返った部屋にやけに響いている気がして、それがまた自分の緊張を強める。 何度も深呼吸をしながら、シャワーを浴び、着替えたりお化粧したりと、いつもよりも丁寧に時間をかけて頑張った。 朝食を作りに起きてきた母がキッチンで先に朝食を作り始めていた準備万端な私を見て、目を見開いて固まった。 でも、それも一瞬のことで、ふふっと笑って何も言わずに一緒にキッチンに立ってくれた母の存在がとても頼もしく感じた。 朝食を食べ終わり、歯磨きも済ませると、何度も何度も鏡を見て全身をチェックする。
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