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「琴音」
「あ、お母さん……」
「大丈夫よ。かわいいから」
自分の部屋とリビングを無駄に行き来している私を見て、いよいよ見兼ねたのか、母から声が掛かった。
その表情はとても穏やかで、ニッコリと笑った母の顔を見て少しだけ身体の力が抜ける。
「でも……」
本当にかわいいのだろうか。
こんな私でも黒崎さんの隣に立って、恥ずかしくないだろうか。
今日も、黒崎さんは私に笑いかけてくれるだろうか。
「お母さんの子でしょう? 少しは自信持ちなさい」
「……お母さんは自分に自信あるの?」
「そうねぇ、あると言えばあるし、ないと言えばないかしら」
「どういうこと?」
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