第4章 その距離に私は惑う

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「琴音」 「あ、お母さん……」 「大丈夫よ。かわいいから」 自分の部屋とリビングを無駄に行き来している私を見て、いよいよ見兼ねたのか、母から声が掛かった。 その表情はとても穏やかで、ニッコリと笑った母の顔を見て少しだけ身体の力が抜ける。 「でも……」 本当にかわいいのだろうか。 こんな私でも黒崎さんの隣に立って、恥ずかしくないだろうか。 今日も、黒崎さんは私に笑いかけてくれるだろうか。 「お母さんの子でしょう? 少しは自信持ちなさい」 「……お母さんは自分に自信あるの?」 「そうねぇ、あると言えばあるし、ないと言えばないかしら」 「どういうこと?」
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