第2章 恋に邁進せよ

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遂に決戦の日は決まった。 そして、その日に私は借りたままになっている傘を返すつもりだったのに、黒崎さんはそれを見越していたように『荷物になるから、傘は別の機会でいいよ』と言ってきた。 少なくとも、同行の日の他にあと1回、会うことが約束されたようだ。それは、私の職場である書店に、黒崎さんがお客さんとして来てくれる時のことかもしれないけど。 それでも、やっぱり素直に嬉しくて、胸がキュンとする。 好きな人とのささやかな約束1つでこんなにも舞い上がれるなんて、恋というものは私の想像以上に厄介で、心をぐるぐるに縛られるものなのかしれないと思わされた。 * この日から、私は当日まで毎日メイクの練習を頑張り、挫けそうになる心を振るい立たせながら過ごした。
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