第3章 同行と位置付けさせていただきます

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そして、やってきた同行の日。 敢えて、本日を『同行の日』とさせていただきたい。 そうでないと……『デート』と位置付けてしまうと、私は行くことができなくなりそうだから。 私は今、部屋の鏡の前に立ち、千絵さんにコーディネートされた姿でおかしなところがないか確認するため、くるくる回っている。 そもそも私の部屋に鏡なんて無かった。洗面所で顔を洗って、みっともない所はないか確認する程度で、お洒落に無頓着だったから。 でも、何かを感じ取ったのか、つい数日前に母が私の部屋用に鏡を買ってきたのだ。 『どうして急に……?』と問うても、母は『ふふふ』と笑うだけで躱されてしまった。 千絵さんにも母にも簡単に躱される私は、本当にチョロいんだろう。 ……いやいや、今は母のことはどうでもいい。
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