脇役のままがよかった

スカイハァアア――イッ！

　通常スカイダイビングなどでパラシュートを開くタイミングは、高度七千五百メートルからのダイビングだとしたら、地面から九百メートルの位置が無難だ。

　今の俺に残された距離は、既に二百メートル程。巨大なパラシュート等を使って急激に空気抵抗を増やしてしまえば俺の身体が耐えきれず、しかし、空気抵抗が少なすぎても勢いを殺しきれず墜落死まっしぐらだ。

　よく小説等で水に落ちて事なきを得る、なんて話を見るが、あれはあくまでフィクションだから通じるんだ。現実では、余程上手く着水しても五十メートル辺りから生死に関わる怪我を負う。そして、七十メートル前後から、生還例は一切無くなる。

　迷っている間にも、ぐんぐんと恐ろしい勢いで地面が近付いてくる。

　もう、あと、数秒もない。