第三話．Beyond Justice & Apologize

４．伊勢神宮での出来事

東京への帰途、瀬川は伊勢神宮に立ち寄った。
参道の橋の上で金髪が輝く外人の母娘とすれ違ったその時、
少女が愛らしい声を発した。
「Oh! There is a witch there!」
振り返ると、少女の目線の先に異様な風情の女。
サテンのロング・ガウンに豪華な真珠のネックレス。
そして真っ赤なドロンジョ・メガネ。
少女は制する母親の手を振り切り女に駆け寄った。
「Hello!　Are you a witch?」
いかにドロンジョ・メガネで隠そうとも、
女が微笑んだことは透けて見えた。
女は立ち止まり膝をついて少女の目線に合わせて応えた。
「Yes, I'm a witch!」
少女は目を輝かせた。
「Please show me your magic!」
「What kind of kind
do you want?」
「I want…,I want to see
my great-grandfather」
「Why?」
「He was a brave
and great soldier.
He was called a champion
of justice.
I'm proud of him．
But I haven't met him.
He was killed by enemy」
「Oh, Poor creature!
But, it was unavoidable.
Because it was war」
「No! That wasn't war.
Unfair surprise attack.
Jap didn't declare war!」
「Terribly sorry…,
I apologize to you in it.
I'm a Japanese witch」
「Oh shit!
You are not witch,but bitch.
Remember Pearl Harbor!」

少女は女に唾を吐きかけ、逃げ去った。
やがて女は立ち上がり、橋を渡って瀬川の横を通り過ぎた。
全身を凍らせ立ちすくむ瀬川の心に、
女の頬を伝う一筋の光が焼きついた。
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