頑固一徹と八方美人

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「私みたいなのんきな八方美人には、ちょうどいいの」 そんな言葉を思い出していた、僕の横に立つ父の目からは涙が滲んでいて、その手は母の手をしっかりと握っていた。 「早く……早く逝っちまえ。あとのことは心配するな……。もう苦しまんでくれ……」 お父さんお母さん、僕はちぐはぐなあなたたちの子で良かった。 最後の最後で父は、大事なことを言葉にした。 お母さん、ありがとう。 僕はお父さんみたいに言えないけれど、お父さんみたいになるよ……。 それから、間もなくして母は逝った。 父のまぎれもなく大きな愛を目にして……。 了
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