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ヒーヒー、ピチュピチュピチュピチュ、チチチチチ……
夜が明ける前から縄張り争いは始まっている。
母が警戒の声を上げているのは、近くにカラスがいるからだろう。
あの声が止んだら、彼女はきっと私たちをこの粗末な巣から、追い出すに違いない。
枯れ枝と乾いた草でできた巣。
ただ私たちが孵化して巣立つまでの仮の宿。
いったいいつ、私はここに来た?
いったいいつからここでいた?
何も思い出せないが、確かに住み慣れた巣なのだと思う。
ねえ、ドリトル先生。
鳥には言葉なぞありませんよ。
言葉は人間の大きな大きな発明です。
私は兄弟たちの言うことも、母の言うこともわからない。
私も意思を言葉で伝えることなんて、まるでできないのだから。
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