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気がつくと、カサカサとした巣の中だった。 なんて、誰が信じてくれるだろう? 私は確かに人間だった。 暑い日も凍える冬も、ひたすら数字を達成するために、アスファルトの上を歩きまわる蟻のごとき営業マン。 空を見上げると、ツバメがツイーーっと飛んでいった。 ヒヨドリが何かをお喋りしながら、波を描いて飛び去った。 カラスが呑気に喧嘩をしている。 私は…… ーーそろそろクールビズでもいいかな? ネクタイを緩めた。
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