6人が本棚に入れています
本棚に追加
一
気がつくと、カサカサとした巣の中だった。
なんて、誰が信じてくれるだろう?
私は確かに人間だった。
暑い日も凍える冬も、ひたすら数字を達成するために、アスファルトの上を歩きまわる蟻のごとき営業マン。
空を見上げると、ツバメがツイーーっと飛んでいった。
ヒヨドリが何かをお喋りしながら、波を描いて飛び去った。
カラスが呑気に喧嘩をしている。
私は……
ーーそろそろクールビズでもいいかな?
ネクタイを緩めた。
最初のコメントを投稿しよう!